1/7 2024年は大地震と航空機事故で始まり、「備えの必要性」と「対応の重要性」を考えさせられる年明けになりました🧐今回は、私が航空自衛隊の戦術輸送機に搭乗していた経験から、飛行機に搭乗するときの「備え」と「対応」について書いてみます✈

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夜間飛行の操縦席から見える滑走路

飛行機事故が発生すると、その衝撃的な映像から安全性が騒がれますが、飛行機は決して危険な乗り物ではないと思います。さらにちょっとだけ備えておくことで万一事故が発生した時の生存率を上げることができると考えています。輸送機搭乗員として様々な緊急対処訓練とJAL脱出訓練を体験した経験から「備え」「対応(行動)」について私の考えを書いてみます。

「服装と持ち物」

服装は肌の露出の少ない方が良い。脱出スライドを滑り降りる際に火傷の恐れがあるのでスカートよりズボンが良いと思います。また、洋上に不時着した場合の体温の保持や不時着陸時の衝撃緩和の観点から、夏でも1枚羽織るものがあった方が良いです。毛布や薄手のものでも1枚あるだけで衝撃緩和になると言われています。

ハイヒールよりスニーカーを履く。ハイヒールは脱出スライドを損傷させ以降の脱出を困難にさせる恐れがあることから脱出の際は着用できません。裸足では脱出後の行動にも支障が出ますのでハイヒールで搭乗するのは避けましょう。

ハンカチを持つ。今回の事故のように航空事故と火災はセットのようなものです。煙から身を守るためにハンカチを持ちましょう。ない場合は袖口や座席の頭部カバーなど身近にある布製品で代用します。しかし最近の飛行機は布製の頭部カバーがないことが多いようです。また、ケガした時の止血などにも使えるのでポケットにハンカチを入れておきましょう。

(参考)イラク人道復興支援空輸時の服装と持ち物。安全な地域(主に日本国内)でのフライトの場合はフライト用の書類の他、ヘルメットや救命胴衣等だけでしたが、脅威の存在する地域でのフライトでは、考えられる全てに対応できるように防弾装備や生物・化学兵器に対する装備、砂漠でのサバイバル装備などを携行していました。

「Critical eleven minute」

私は現役時代に4度の航空事故を目撃しました。そのうちの1つは外国軍基地勤務中に発生したF-18の左主脚損傷によるかく座事故。パイロットは無事でしたがこの事故のように航空事故のほとんどは離陸の3分間と着陸の8分間に発生するといわれています。これを 「Critical eleven minute」と呼び、パイロットをはじめ搭乗クルーは事故発生に対する備えを厳にします。乗客として搭乗する場合は、事故が発生するかもしれないと考え、コートやカーディガンを羽織り、座席ベルトを腰骨の位置でしっかりと締めるなど万一に備えましょう。

(参考)イラク復興支援空輸時の離陸前にチェックリストを確認しているところ。これ以降は離陸からから着陸までは腕まくりはしません。フライトスーツ(難燃素材)の下には化学繊維ではなく綿又は難燃性の下着を着用していました。また、イラク領空に入る前にはヘルメットを着用し備えを万全にしていましたが脅威と暑さとの戦いでした。

「万一の行動のために」

・離着陸前は前述の理由からできるだけ肌の露出を少なくします。また、靴は履いておきましょう。

・万一事故が発生した場合は、パニックにならないよう深呼吸をします。(パニックは伝染します)そして搭乗員の指示に従います。搭乗員は様々な訓練を行っていますので安心して指示に従いましょう。

(参考)夜間戦術飛行時の機内照明は赤灯です。これは空挺降下(落下傘降下)する隊員の暗順応(夜間視力)を確保するためで、降下隊員が機内を跳びだした後でも周りが見えるように配慮しています。このように夜間は視力確保もポイントとなります。離着陸前は読書灯などを使わず外を見て風景を楽しみましょう。

以上、私なりの考えをご紹介しました。何かご質問・ご指摘があればお気軽にメールにてご連絡ください。

飛行機から見る夜景はとてもきれいです。楽しい空の旅を‼

 

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